省エネ時代にマッチするモータドライブテクノロジー
2019.01.25
文・写真:代表取締役 山本清 ●省エネトレンドに向けて 今やモータの省エネは社会的なトレンドとなっておりキロワットオーダーのモータはベクトル制御など随分と進 歩しています。しかし数ワットオーダーの小型モータは始動性やコスト等から矩形波駆動が多用されており、駆動 回路についてまだまだ改善の余地がありそうです。たかが1ワットという声も聞こえてきそうですが「ちりも積も れば山となる」で数がまとまれば大きな効果となるはずです。 今回、当社では三相ブラシレスモータを最大20%省エネするPWM新手法「クランプレス通電」を販売開始し ました。お使いの回路のソフトを変更するだけで効率アップと静音化ができます。御社でもご検討いただければ幸 いです。 ●矩形波ドライバーはブレーキをかけながら回している!
ブレーキとアクセルを同時にふんだら調子よく走るわけがない(カーレーサーは除きますが)
これと同じことがモータで起こっています!PWM通電の還流という現象が原因です。
ブレーキは通常はさほど問題にならないレベルですが、進角を大きくすると急激に大きくなり最終的にはモータ が回らなくなってしまいます。そのため進角範囲を狭くして使っているのが現状です。
新手法「クランプレス通電」はこのブレーキを防止して大きな省エネを実現する技術です。波形は非常にユニー クで私たちは何十年も回路設計をしてきましたがまったく見たことのない波形です。 ●進角拡大でサイン波通電より高効率を達成 開発を担当される皆さんは120°通電で進角制御をしたことがおありかと思います。進角調整すると最初のう ちは電流が減り回転音も静かになっていきますが、進角が大きくなるにつれて電流が増え音も大きくなります。こ うなると進角が大きすぎるので少し小さくしてこれを繰り返して最適値を探すわけです。
これが当たり前ですが、なぜあるところを過ぎると電流は増え音が大きくなるのでしょうか?
私たちはその原因がブレーキにあることを突き止めました。そこでブレーキがかからない制御ソフトを開発した ところ、進角を大きくしていっても電流は減る一方で騒音も小さくなりました。ということは進角を大きくするほ ど効率が良くなるということです(理論最大値30°)。今までの進角調整は一体なんだったんだ!と思えてきます。
進角制御やPWM高速化でなんと20%近い省エネもできてしまいます。実際に当社ではサイン波通電を軽々と こえる省エネ率も達成しています。
またクランプレス通電はパラメータ設定が不要で複雑な演算もないのでプログラムは非常に簡単です。 ●150°通電にも対応 150°通電もクランプレス通電が可能です。負荷時の効率がアップし回転音もかなり静かになります。 また誘起電圧を検出できるのでセンサやソフトを簡素化でき、センサレス駆動への道も開けます。 ●各種の二相通電回路に簡単に組み込めます このようにクランプレス通電は大変優れており環境対策の面からもできるだけ多くの場面で使っていただきたい と思います。残念ながら無償という訳には参りませんができる限り格安で提供したいと考えています。 ご不明な点などがございましたらお気軽にお問い合わせください。 「クランプレス通電」の詳しい技術内容はこちらへ